君と1000年紡ぐ
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ムクの星
☆
その昔、ムクの腹には、たくさんの星たちが暮らしていました。
これはまだ、星たちが空に踊る前のお話です。
☆
ムクは考えました。
「小さい星は、かわいいな。
並んでいるやつは仲がいいんだ。けんかもするけれど。
はやくまたたくのは心配だな。
おそく動くのはもっと心配だなぁ」
ムクはたくさん考えました。
「しろい星はかよわいけれど、たくさんあつまると河になる。
川になると、とってもあたたかいんだ。
青いのには特にていねいに挨拶をする。
おおきくなると、サカナがすむからね。サカナは好物なんだ」
ムクは、もっとたくさん考えました。
星たちのことを思って、たくさん、たくさん考えました。
そして、頭の中がきらきらしてしまうほど考えました。
「きみたちを抱えて歩くのは大変なんだよ。
腹がつかえてさ、仲間にあいさつをするのも、ゆっくりになるからね。
ぼくは群れでいちばん注意深く水浴びをしなくてはならない」
☆☆
ある日ムクは、群れの中にその子を見つけました。
川をつくる星のようにしろくて。
流れ星のようにまつげの長い。
ムクは思いました。
「赤い星はいらない。
抱き締めようとすれば、あの子は焼け死んでしまうだろうから」
ムクは、はっきり思いました。
「そうだ、だれだっていらない。
だって、きみたちは、ぼくのことを満たしてはくれないじゃないか。
ただ、そこにすんでいるだけで。
ぼくはこんなに用心して暮らしているのに」
もう、ムクは
たしかにはっきり思ってしまいました。
「あの子は、きみたちの持っているものも、持っていないものも、持っている。
それに、あの子はぼくら群れにいて、ぼくとおなじしっぽまで持っているんだ。
だから、きみたちはいらない」
ムクははきだしました。
いびつな、赤いともだちを。
しろいのも小さいのも、並んでいるのも。
サカナがすんでいる、青い星さえも。
そうして、みんな、みんないなくなりました。
ムクはたくさん泣きました。
どうしてこんなに、お腹が軽いことが不安なのでしょうか。
どうしてこんなに、めんどうだったことが愛おしいのでしょうか。
どうしてこんなに、苦しくなるのでしょう!
「いまごろになって!」
ムクの涙は、何日も何日も続きました。
涙は雨を誘いました。
ムクたちのすむせかいに、たくさんの悲しみをもたらしました。
たくさんの悲しみで、ムクの仲間たちもいっしょになって雨を誘い、
川を呼びました。
雲が引き払いましたのは、何日目の夜のことでしょうか。
たくさんの悲しみのたくさんの涙は、
ムクたちの足元に、緑の命を運んできました。
すると、そのとき。
命の先が、きらり、と光ったのです。
みんなが、どうじに、空を見上げました。
空を見あげたのは、そのときがはじめてでした。
いままで、だれも気にとめなかった空です。
「ああ、もどってきてくれた!」
ムクたちは、もう決して星のことで悲しむことはありませんでした。
☆