君と1000年紡ぐ
甘くもなく、でも辛口でもない。
そんな物語を置いています。
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幻燈夜会
カルミアのつぼみが濃くなる頃
幻燈夜会が訪れる
誰が誘うでもなく
ひとつ、ふたつ
影が重なり、列となって、村の大楠へと流れていく
大楠の前では
上等の羅紗の燕尾を身にまとった
幻燈紳士が出迎える
紳士はトップハットを目深に下げて
深く屈んで挨拶をする
「さあさあ5月の幻燈夜会
カルミアのつぼみが光になって
今年はなにを映しましょうか
幻燈箱の中を覗きましょう
色鮮やかな幻燈絵巻を
あなたの心に映しましょう」
灯りの羅列の狐の夜行
嫁入り大入り白光の解離
カルミアの光りの解離
村の大楠に集った人々が
いつの間にか狐の微笑
隣り合う誰もが白い毛にふさふさ尻尾
幻燈紳士の幻燈箱に
ひとつ、ふたつ
影が重なり、列となって流れていく
幻燈紳士は歌い続ける
「カルミアのつぼみが光になって
色鮮やかな幻燈絵巻を
あなたの心に映しましょう」
最後まで、その瞬間まで
幻燈夜会の全国行脚
幻燈夜会が訪れる
誰が誘うでもなく
ひとつ、ふたつ
影が重なり、列となって、村の大楠へと流れていく
大楠の前では
上等の羅紗の燕尾を身にまとった
幻燈紳士が出迎える
紳士はトップハットを目深に下げて
深く屈んで挨拶をする
「さあさあ5月の幻燈夜会
カルミアのつぼみが光になって
今年はなにを映しましょうか
幻燈箱の中を覗きましょう
色鮮やかな幻燈絵巻を
あなたの心に映しましょう」
灯りの羅列の狐の夜行
嫁入り大入り白光の解離
カルミアの光りの解離
村の大楠に集った人々が
いつの間にか狐の微笑
隣り合う誰もが白い毛にふさふさ尻尾
幻燈紳士の幻燈箱に
ひとつ、ふたつ
影が重なり、列となって流れていく
幻燈紳士は歌い続ける
「カルミアのつぼみが光になって
色鮮やかな幻燈絵巻を
あなたの心に映しましょう」
最後まで、その瞬間まで
幻燈夜会の全国行脚
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カルムクルム
カルムクルム
光り、ふたつ
カルムクルム
夜に、光る
雪に、密やかに
昼に、笑え
小川の底から薄氷を見上げ
見上げて光りの反射を呑み込め
カルムクルム
光り、ひとつ
カルムクルム
春に、溶ける
カルムクルム
ククルクルム
光り、ふたつ
カルムクルム
夜に、光る
雪に、密やかに
昼に、笑え
小川の底から薄氷を見上げ
見上げて光りの反射を呑み込め
カルムクルム
光り、ひとつ
カルムクルム
春に、溶ける
カルムクルム
ククルクルム
瓦礫の幽霊
瓦礫の幽霊は愛を知らない。
陽は、たくさんの破片に阻まれ、
夜は緑とオレンジの灯をまとった隣のバーは、
ここまでそれを届けてくれない。
汚いものを見るような目線を投げつけられた。
瓦礫の幽霊は愛を忘れてしまった。
「あった。あったわ」
人形のような愛らしいアーモンド形の目がこちらを見て、
にっこりと小さな手を差し出してきた。
「壁に焼きついてしまったルー。
連れて帰るわ。いつまでも一緒よ」
ああ、僕も君を待っていた。
足枷はとれ、小さな影を追うことができる。
瓦礫の幽霊はぜんぶ思い出した。
夜中の番人
鈴虫がうたう白い線路に
夜中の番人が棲んでいます
街灯だけが続く 果てのない道を
影が映らないように
用心深く歩いています
夜の鱗の黒い川
水溜りに描いたネオンにひざを折り、祈りなさい
「踊りながら眠りたい
疑うことを忘れたい
月を隠してください」と
番人にはたやすいこと
踊ることを止められない脚と
大事な人への愛と
永遠にやって来ない朝
代価も備えておいてくれ、と彼は笑って
鈴虫がうたう白い線路に
夜中の番人がすんでいます
夜中の番人が棲んでいます
街灯だけが続く 果てのない道を
影が映らないように
用心深く歩いています
夜の鱗の黒い川
水溜りに描いたネオンにひざを折り、祈りなさい
「踊りながら眠りたい
疑うことを忘れたい
月を隠してください」と
番人にはたやすいこと
踊ることを止められない脚と
大事な人への愛と
永遠にやって来ない朝
代価も備えておいてくれ、と彼は笑って
鈴虫がうたう白い線路に
夜中の番人がすんでいます
雲を運ぶ人の話
男が雲を乾燥させて、
小さな瓶に詰め持ち歩いています。
彼は、それを別の場所で、
水に溶かして土へ撒くのだそうです。
乾燥雲は土の命を吸って舞いあがり、
やがてふたたび雲として、
雲を生きます。
男は、そういう実験をしている人でした。
世界を救うに値する、壮大でとても素敵な実験でした。
土砂崩れに悩まされる村と、
豪雪に耐えている母と、
枯渇している砂漠を、
同時に救うことができるので。
しかし、
男は実験に必要なものが、足りませんでした。
彼は、女というものを理解できていなかったのです。
女は大地。
雨を受け止める大地。
雲の影を拾い、温かく微笑む存在。
土は女そのものであったのです。
すなわち、男の実験は、
未だ成功にはいたっていなかったのです。
瓶の中で、乾いた雲の欠片は、カラコロと小さく鳴いています。
母を欲する赤子の悲鳴に聞こえます。
男は試しに、足元の土へ欠片を撒いてみました。
雲はひゃっと言って、消えてしまいました。
幼い手の跡をのこして。
男は雲を小さな瓶に詰めています。
世に出れば、きっと多くの他人が尊敬し、彼に援助を申し出るだろう大実験のために。
けれども、男は途方にくれていました。
HN:
史間
性別:
女性
職業:
編集
趣味:
物書きと妄想
自己紹介:
本館「史間ブログ」では小説を連載しています。
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