君と1000年紡ぐ
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犬のエンジン
ぶっ飛ばせ
犬のエンジン
ぶっ飛ばせ
真っすぐに
壁沿いに
のっぱらを
泥だらけ
犬のエンジン
ぶっ飛ばせ
犬のエンジン
ぶっ飛ばせ
草むらで
後ろ足
石ころも
撥ね飛ばす
犬のエンジン
ぶっ壊れちゃった
かしこいチャクのはなし
かしこいチャクは
おおきなみみと
ふさふさしっぽを
みぎにまいて
いつでもぼくをみあげてた
くりくりめだまは
まっすぐで
ぼくのゆびさき
くるくるおいかけっこ
かしこいチャクは
くりくりめだまで
パパのゆびさき
くるくるおいかけっこ
パパがぽいって
タバコをなげたら
みぎまきしっぽを
ふりふりふって
タバコおいかけ
ひをけすひけし
ぼくとパパはおおよろこびで
かしこいチャクは
いいこだチャクは
チャクのめだまも
くりくりよろこび
なんどもなんども
くるくるおいかけっこ
ぼくもパパもいつのまにか
チャクとタバコを
すっかりわすれて
ふらふらゆらゆら
ひとりでさんぽ
くるまのまどから
ぽいってなげた
ほうぶつせんを
くるくるひけし
チャクはとおくへ
そのままとおくへ
ばかだよチャクは
そうだんもなしに
さみしかったのに
そうだんもなしに
とおくのおそらで
ひけしになった
おそらのチャクは
いつでもぼくの
おつむをみつめて
くるくるひけし
ぼくもいつかチャクのような
くるくるひけしに
なるからね
モーリタニアの風
風は白く鳴る
薄い青へ鳴っている
モーリタニアの風は
あの白いモーリタニアの風は
山羊を喰った
犬を喰った
牛を喰った
白く鳴る 鳴る 鳴る
渦を巻く 高く巻く 低く走る
ひゅうともいう どるくどるくともいう
小さな町と思い出くらいは簡単だ
蚕が桑の葉を喰らうかのようだ
母をのみこんだ
母の面影をはらった
もうどこにも私の帰る場所は無い
モーリタニアの風は
本当に真っ白な
あのモーリタニアの風は
あなたが地球にいたころ
恐竜がほろびたなんて、うそだね。
ぼくらは、きみたちのそばにいた。
きみたちが遊んでいたあの森は、ぼくのすみかなんだ。
くびの長いあいつは海にいて、
船とならんでおよいだりしていた。
丘にあがってひるねもした。
おおわしの影にかぶさって空をおよいでいたのも。
見えなかったかもしれないが、暖炉の中にもかくれていた。
きみたちは、ぼくらに会いたがっていたんだね。
それなら遠慮なく、居場所を教えてあげたのに。
きみたちがまだ、地球に生きていたのなら。
ムクの星
☆
その昔、ムクの腹には、たくさんの星たちが暮らしていました。
これはまだ、星たちが空に踊る前のお話です。
☆
ムクは考えました。
「小さい星は、かわいいな。
並んでいるやつは仲がいいんだ。けんかもするけれど。
はやくまたたくのは心配だな。
おそく動くのはもっと心配だなぁ」
ムクはたくさん考えました。
「しろい星はかよわいけれど、たくさんあつまると河になる。
川になると、とってもあたたかいんだ。
青いのには特にていねいに挨拶をする。
おおきくなると、サカナがすむからね。サカナは好物なんだ」
ムクは、もっとたくさん考えました。
星たちのことを思って、たくさん、たくさん考えました。
そして、頭の中がきらきらしてしまうほど考えました。
「きみたちを抱えて歩くのは大変なんだよ。
腹がつかえてさ、仲間にあいさつをするのも、ゆっくりになるからね。
ぼくは群れでいちばん注意深く水浴びをしなくてはならない」
☆☆
ある日ムクは、群れの中にその子を見つけました。
川をつくる星のようにしろくて。
流れ星のようにまつげの長い。
ムクは思いました。
「赤い星はいらない。
抱き締めようとすれば、あの子は焼け死んでしまうだろうから」
ムクは、はっきり思いました。
「そうだ、だれだっていらない。
だって、きみたちは、ぼくのことを満たしてはくれないじゃないか。
ただ、そこにすんでいるだけで。
ぼくはこんなに用心して暮らしているのに」
もう、ムクは
たしかにはっきり思ってしまいました。
「あの子は、きみたちの持っているものも、持っていないものも、持っている。
それに、あの子はぼくら群れにいて、ぼくとおなじしっぽまで持っているんだ。
だから、きみたちはいらない」
ムクははきだしました。
いびつな、赤いともだちを。
しろいのも小さいのも、並んでいるのも。
サカナがすんでいる、青い星さえも。
そうして、みんな、みんないなくなりました。
ムクはたくさん泣きました。
どうしてこんなに、お腹が軽いことが不安なのでしょうか。
どうしてこんなに、めんどうだったことが愛おしいのでしょうか。
どうしてこんなに、苦しくなるのでしょう!
「いまごろになって!」
ムクの涙は、何日も何日も続きました。
涙は雨を誘いました。
ムクたちのすむせかいに、たくさんの悲しみをもたらしました。
たくさんの悲しみで、ムクの仲間たちもいっしょになって雨を誘い、
川を呼びました。
雲が引き払いましたのは、何日目の夜のことでしょうか。
たくさんの悲しみのたくさんの涙は、
ムクたちの足元に、緑の命を運んできました。
すると、そのとき。
命の先が、きらり、と光ったのです。
みんなが、どうじに、空を見上げました。
空を見あげたのは、そのときがはじめてでした。
いままで、だれも気にとめなかった空です。
「ああ、もどってきてくれた!」
ムクたちは、もう決して星のことで悲しむことはありませんでした。
☆